SQS工法
技術の概要
超速硬化ポリウレタン・ポリウレア樹脂吹付塗膜材「SQS(Super Quick Spray)材」 は表面被覆材料として、新設及び既設の幅広い構造物に適用されます。「SQS防水材」は2液硬化型吹付塗膜材で硬化後は強靭で高い物理性能を持つ高分子系塗膜層を形成します。その施工においては、専用の高圧定量送液ポンプ を組み込んだ機械化システムによってスプレー状で連続的に吹付、10~20秒後にはダレ落ちることなくシームレスに成膜します。平面以外の立面、天井面、複雑な部位も施工可能で、施工後の塗膜は均質で良好な水密性を有しています。
高圧定量ポンプ(例)
機械化システム(例)
【先端的事例】SQS材吹付施工の自動化を実現しました。
高速道路防護柵(壁高欄)の防水塗装用SQS材吹付施工において、専用の自動塗装装置を用いて省人化し、品質の安定した安全施工を実現する取り組みです。
夜間規制に伴う本現場では、1日あたりの施工高を飛躍的に伸ばすだけではなく、工事規制回数を大半に削減することでトータルコストの低減にも寄与したことが報告されています。
技術の特徴
(1)工期短縮化工法
従来のメンブレン型防水樹脂は防水層を形成するために、塗布工程毎に硬化養生を繰り返して積層するため、完成までに複数日を費やすことが一般的です。これに対しSQS材はスプレー超速硬化型樹脂の特徴を生かし、その塗膜を連続的に積層が可能なため工期、工費を大幅に削減できます。
(2)複雑な形状でもシームレス完全防水
超速硬化スプレー施工のため、シームレスで水密性の高い防水層を形成できます。しかも、セパレータ、中間杭廻りなどの複雑な形状も確実に接着してトレースするため、水の侵入を防ぎます。
(3)物性管理システムで、均一化かつ高品質な防水塗膜物性を実現
自動監視システム搭載の吹付機械は、一定量材料分が供給され、万が一、異常が発生した場合は強制的に停止される機能を有し、また、外気温などの作業環境に左右されることなく、均一で高品質な塗膜物性を実現できます。
(4)優れた耐久性
80℃の加熱処理及び-50℃の環境下においても物性低下することはありません。また、成膜したものは塩分がまったく透過せず、海水中においても接着性能は低下しません。
性能
防水性
水密性試験によれば、通常の条件下で水深100m相当、砕石転圧後の条件下で水深50m相当の耐水圧性能を有しています。
物性
引張、接着及び遮塩性試験などの物理性能に関する試験において、十分な強度、伸び、接着性、亀裂抵抗性を有し、塩分を透過せず、早期に優れた物性を発現することが認められています。
施工性
専用の機械システムとスプレー施工により、立面、天井面および複雑な形状をトレースして均一な塗膜層を形成することが可能です。
耐久性
耐候性試験及び耐薬品性能試験などの耐久性に関する試験で十分な対候性、耐薬品性、耐熱性、耐低温および耐海水性が認められています。
安全性
溶出性能試験において、「土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号、一部改正平成26年環境省告示第44号)」に定める有害物質の溶出は基準値以下でした。
「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令第5条第1項に規定する埋立場所等に排出しようとする金属等を含む廃棄物に係る判定基準を定める省令(昭和48年総理府令第6号)」(海防法)の溶出性能試験おいても有害物質の溶出は検出されませんでした。